♪はバックで流れている曲。
ナレーションは小澤 良太さん。
☆夏の終わりの39祭り会場
ナレ(デビューから5年、留まる事を知らない初音ミク旋風――)
一般客「(初音ミクが)大好きで。(着ていたオリジナルTシャツの絵柄を見せて)これ、子供に描いてもらって――」
一般客「色んな人の世界観が見れるってのもひとつの魅力だと思います」
♪「39」(sasakure.UK×DECO*27)
ナレ(バーチャルアイドルが生み出す世界とは?)
ナレ(札幌発のバーチャルアイドル“初音ミク”、何を変え、どこに向かうのか――?)


☆スタジオ(徳光珈琲 大通店 札幌・中央区)
保田 隆明 准教授(小樽商大ビジネススクール)
磯田 彩実(テレビ北海道社員・元ミスさっぽろ)
村山 浩一 デスク(日本経済新聞社札幌支社)の3人で番組進行。
保田「今や海外にまで出て行ってコンサートをする」
磯田「アイドルも驚いちゃいますね」
保田「リアルなアイドル負けちゃいますよね」
磯田「さて、今日はコメンテーターに日経新聞より村山デスクにお越し頂きました。よろしくお願いします」
村山「よろしくお願いします」
磯田「村山さん、いかがでしたか? ライブの映像」
村山「そうですね、あの、札幌からまさに世界へ飛躍したキャラクターと言えるんだと思います。さらにすごいのはですね、クリエイターたちのコミュニティーをですね、形成できているということがあるんですね」
保田「コミュニティーの形成、まあそのあたりは後でゆっくりとVTRでご覧頂きますけども」
磯田「(VOCALOID2初音ミクのパッケージを掲げながら)この初音ミクというのは音楽と歌詞を入力すると自動的に歌ってくれる“ボーカロイド”と呼ばれるソフトウェアです。実際にけいざいナビのために歌ってもらいましょう」
♪「今日の特集初音ミク♪」(番組オリジナル、ノートパソコンから再生)
磯田「いかがですか?」
保田「上手ですねえ。まあ上手ですねぇと言うのも失礼な話なんですけど。いやぁ、村山デスク、今の簡単にこういうのができるこのソフト、やっぱり非常に秀逸ですよね」
村山「あのー、やっぱり我々一般の人のですね、創作意欲を掻き立てるような道具ができているんだと思うんですよね」
保田「それで、次々クリエイターが登場してデビューしていく、と。そんな模様を今日VTRでご紹介しますが、当番組では2年前にも取材しています。今や世界進出を果たした初音ミク、大きなムーブメントになっていますが、デビュー5年、進化する初音ミクに迫ります」


☆夏の終わりの39祭り会場
ナレ(8月、横浜で行われた初音ミクのライブです。港に吹き上げられた水のシャワーをスクリーンに3D映像のミクが投影されるという新たな試みです)
ナレ(デビュー5周年を記念してゲーム会社などが主催しました。コラボグッズの販売や新作ゲームの体験コーナーなどに多くのファンが集まりました。
☆来客者へのインタビュー
Q.ミクの魅力は?
「え? 魅力? 人間じゃないところですかね」
「私は結構最初、すごい声が好きで――」
「そうですね、やっぱり色んなクリエイターさん達が登場するたびにおおお~! って」
☆伊藤 博之社長(クリプトン・フューチャー・メディア)も来場
伊藤「すごい人ですね。8月31日が初音ミクの第5回目の誕生日だということで、そのための前セレブレーションというか、浸透している感じはしてすごくびっくりしてますね」


☆ソフトの紹介
♪Weekender girl(kz(livetune)×八王子P)
ナレ(クリプトンが自社発売した音楽合成ソフト「初音ミク」はこれまでに7万5千本を売り上げました。初音ミクではメロディーと歌詞を入力すると歌声が自動的に合成されます。声のデータベースは実際に収録した人の声です)
♪デモ曲3曲目「胸の奥に隠しているの~」♪
ナレ(このソフトを使えば誰でもバーチャルアイドルのミクに自作の歌を歌わせることができます)
♪「一緒に歩いていく道のその先には~」♪
♪デモ曲1曲目「空に輝く星のかけら~」♪
ナレ(歌をうたう初音ミクは16歳の女の子というキャラクター設定にしました)
伊藤「このソフトの中に人が居て、その人が歌ってくれるんだっていう訴求の仕方にしないと中々商品って理解してもらえないだろうなと思いまして、技術の部分だけをクローズアップするんじゃなくて、それを使う人間がどういう気持ちでその製品を使うかっていうことをイメージしながら製品を創りだしていく。」
♪5周年アニバーサリーソング「39」(動画)


☆sasakure.UKさんとDECO*27さんと木戸文祥さん(ユーマ(音楽レーベル)の打ち合わせの様子
ナレ(5周年記念の歌を作詞したDECO*27さんというクリエイター。地元九州で音楽活動をしていました。ミクとの出会いが人生を変えました)
DECO*27「初音ミクを知る前まで、もう音楽をホントやってなかった時期があって、大学生になって。初音ミクをきっかけに、まあもう1回やろうかなって思って」
♪僕みたいな君 君みたいな僕(動画)
ナレ(4年前、初音ミクを使って創作した曲をインターネットの投稿動画サイトに投稿した所、ネット上で瞬く間に人気を集めました)
☆DECO27さん映像(2年前)
♪愛 think so,(DECO*27)
ナレ(一昨年、九州から東京に出てきた頃のDECO*27さんです。新曲をネットに投稿するたびに数十万回再生される人気に。東京の音楽レーベルが才能に目を付け、CDデビューへ)
DECO*27「いや嬉しいです。やりたかったことなので。それがやれて嬉しいです」


☆再び、sasakure.UKさんとDECO*27さんと木戸文祥さんの打ち合わせの様子
ナレ(あれから2年半、DECO27さんは7枚のアルバムを出し、発表した曲のネット上での(総)再生数は2200万回以上。今では有名タレントや女優に楽曲を提供するほどの売れっ子です。)
☆「39」の動画を鑑賞しながら、DECO27さんとsasakure U.K.の会話中
女性スタッフ「こんな風になるっていうのを2年前には思ってました?」
DECO27「いや…! ふはは 想像してなかったですね」
ナレ(5周年記念の作曲をしたsasakure U.K.さんも、初音ミクが生み出した人気アーティストです)
sasakure U.K.「ミクも実際にいないけれども、実際にあるものだったりとか、そういう風な感覚に、現実と幻想の間だったりするわけなんですけれども、何かその感覚を今リアルに味わっているというか―やりたいことが、自分で音楽もできているし、生活していけるしっていう」
ナレ(2人のCDデビューを手掛けた木戸さんは、初音ミクが音楽業界に与えた影響をこう語ります)
木戸「一つの楽曲を作る部分においての制作過程が非常に圧縮されたかなという印象を持っていて。自宅の環境で初音ミクに歌ってもらう、という課程で完結しちゃったというのが非常に大きいかなあと思うんですね」
ナレ(DECO*27さんは、いずれ地元九州に戻って音楽活動を続けたいと考えています)
DECO*27「たとえ日本じゃなかったとしても、インターネットが通じるところにいればどこでも自分の作品を発表していけるし、自分の好きな拠点というか場所を選んで音楽制作が自由にできるようになると環境的にも良いんじゃないかなと思います」


☆ゲーム(Project DIVA f)をプレイ中のシーン
♪ネガポジ*コンティニューズ
ナレ(ミクがうたう歌に合わせてボタンをタッチするゲームソフトです。大手のセガが開発。8月の発売からわずか1週間で16万本を売り上げました。sasakure U.K.さんの曲も収録されています。その他の楽曲もネットから生まれた人気アーティスト達が制作しています)
林 誠司(セガ)「楽曲だけではなくてですね、コスチュームのデザインもイラストレーター、動画投稿サイトで活躍されているイラストレーターの方にお願いしたり、そういったクリエイターの力によって作り上げられているソフトであると――」


☆ミクノポリス イン ロサンゼルス(去年7月)
♪ワールドイズマイン(supercell)
♪ロミオとシンデレラ(supercell)
ナレ(去年7月、ロサンゼルスでのライブ。チケットは完売。5000人の観客を集めました。ライブで発表される曲もネット上で生まれた曲です。10月には香港と台湾でも公演が決定しています。ネット上のアイドル“ミク”に国境は関係ありません。)
☆ちほさんのイラスト制作シーンとピアプロのシーン
ナレ(札幌出身のイラストレーター、ちほさん。描いているのは今年の正月用にコンビニで販売される年賀状。クリプトンから制作を頼まれました。音楽ソフトに描かれているオリジナルのミクと、ちほさんの描くミクは全く雰囲気が違います。ちほさんはクリプトンが運営する作品投稿サイト「ピアプロ」の常連です)
ちほ「5年間初音ミクを描き続けていて、飽きていないっていうのにちょっとびっくりしていますね」
♪コロンブス(chiquewa)
ナレ(ピアプロには、世界中から初音ミクで作った新曲が数分毎にアップされています。投稿されるのは音楽だけではありません。初音ミクをモチーフにしたイラストは毎日100件近く投稿されます。通常、キャラクターは著作権で保護されるため、許可なくネットで発表することはできません。しかし、クリプトンでは、営利を目的としない場合は、初音ミクを使った二次創作を認めています。
伊藤「人が表現した作品があった時に、『ああ、俺だったらこういう風にするなあ』とか、『こう見ると面白いことができるな』ということで、“掛け替えちゃえ!”ってしたいケースも出てくるわけです」
ナレ(クリエイター同士が承諾し、イラストに曲を付けたり、それをアニメーションにしたりというコラボレーションも盛んです)
伊藤「“創作の連鎖”というふうに僕は呼んでいるんですけれど、そういった創作の広がりが初音ミクっていう媒介を通じて世界に広がって行っている、というのが非常に興味深いですね」
♪アンバランスコミュニケーション(曲者P)
ナレ(ちほさんは今、出版物の表紙やミクのコラボ商品のイラストを手掛け、プロとして活躍しています)
ちほ「キャラクターっていう所からもうプラットフォームに変わっているのが一番の魅力だと思っていて――」
ナレ(クリプトンが企業と共同で作ったグッズなどには多くのイラストレーターが起用され、ミクの様々な魅力を作り出しています。自由な創作を後押しすることで活躍の場を広げ、経済的な価値も高めています)


☆アスキー・メディアワークス
♪Tell Your World
ナレ(この出版社では、写真集や人気クリエイターが描く本などを出版しています。ネットに発表される曲やイラストをモチーフに小説を書く人も増え始めているといいます)
福岡 俊弘 CGM編集部長(アスキー・メディアワークス)「文芸なら文芸、音楽なら音楽っていうふうにいわゆる体系が分かれたこれまでの世界だと、決して出てこなかったような才能がたぶん初音ミクを介して出てくる。初音ミクって実は中は空っぽなんですけど、何かの想いで埋めていかなければならない。みんなのそういう気持ちを集めるメディアになっていると、僕はそう思っています」
♪君の住む街へ(宇田川左京)【赤い羽根共同募金×ピアプロコラボ 応援キャンペーンソング】


☆赤い羽根共同募金
ナレ(10月から始まる赤い羽根共同募金では、初音ミクをイメージキャラクターにキャンペーンを展開します。ポスターや啓発グッズに使うイラストや歌はピアプロを通して公募しました)
天羽 啓 常務理事(北海道共同募金会)「若い方によく知って頂きたいという思いがかねねてよりありまして、クリプトンさんが札幌の会社なものですから、一緒に何かできないかということでアプローチしたところ、一緒にやろうよということで快諾頂いて――」
ナレ(一方でクリプトンでは商業的なコラボや商品開発には慎重です)
伊藤「目先のムーブメントで消耗的に展開していくよりも、こういう風にすると未来はもっと何か面白くなるということのほうに、興味がより大きく占め…」


☆東京ミッドタウンでの発表会のシーン
ナレ(伊藤さんが新たなチャレンジに選んだのは――先月下旬、日本フィルハーモニー交響楽団との共演を発表しました。作曲は世界的な音楽家 冨田 勲さんが手がけます。ミクのコンサートを見た冨田さんからの依頼でした)
冨田「作曲者が自分の理想とする歌いかたが仕込むことができると、そういうのはやっぱり面白いと思いますよ作曲者としては。“今世紀になってからのすごいアート”だと僕は思ってますけれども」
♪再び、ワールドイズマイン
ナレ(世界中のクリエイターの発想をつなぎ、独自の世界を作り上げる“初音ミク”。その向かう先は――)
社長「まあ、色々なコンテンツを創り上げるクリエイターが後ろにものすごいたくさんの数がいらっしゃる。それがまあ、ある部分ではビジネスになるし、ある部分では文化的な新しい種になってくる可能性もありますし、そういう新しいことをどんどんやっていきたいと思っています」


☆再び、スタジオ
磯田「村山さん、初音ミク大人気ですが、この成功の秘密はどこにあるのでしょうか?」
村山「そうですね、単にかわいらしいバーチャルキャラクターというのだけに留まっていないのが大きいんですよね。クリエイターの人達がですね、創作のためのプラットフォームを提供できている点、そのクリエイターを含んだ多くの人たちのコミュニティーを形成できている点、このへんがね、非常に大きなポイントなんだと思うんです。元々クリプトンの伊藤社長はですね、前職が大学の職員だったんですけれども、そのころに研究室にあったコンピューターで技を身に付けたと。元々『ギター小僧だ』ってご自身おっしゃっていましたけれども、“音”というものが非常に好きだったと、“音”“コンピューター”そういう物を組み合わせて応用した結果がですね、この“ミク”なんですよね! 伊藤さんの口癖でよく、“人生、応用の連続だ”っていうのがあるんですけれど、まさに“応用の連続”でクリプトンという会社の今があるんだと思いますよね」
磯田「実際に創ってみようと、クリエイターの意欲を掻き立てるその秘密としては、ソフトウェアの技術の高さというのもあるんでしょうか?」
村山「そうなんですね、それに加えてもう1つ大きいのが、権利許諾を比較的緩やかに設定しているという点なんですよね。余りガチガチに固めてしまうとクリエイター達も使いにくいだろうということでですね。割合使いやすい仕組みにすることによって動画共有ソフト(サイト)を通じてどんどん世界に作品を発信していきたい、という人達が増えていっているということですよね」
保田「そうすると、飽きが来ませんよね」
磯田「そうですね、ただ、キャラクターというと一般的には時間が経つとだんだん人気が小さくなっていくとか、下火になっていくイメージがあるんですけれども、その辺はいかがでしょう?」
保田「そういう意味ではキティちゃんが1つのモデルになるんだと思うんですよ」
磯田「キティちゃん?」
保田「ええ、色んな所とコラボレーションして色んなキティちゃんありますよね」
磯田「そうですよね」
保田「初音ミクも同じなんですよね。ですので、今後長期に愛されるキャラクターに育っていく、これがまあ課題であり、我々の楽しみだと思うんですよ」
磯田「そうですね。これからに期待できるということですね」


>TVh テレビ北海道「けいざいナビ」
関連ページ
>出た!北海道テレビ(HTB)で初音ミク特集!
>HBCで「札幌出身 8億円のアイドル 初音ミクって誰?」が放送
>2010年3月6日に伊藤社長がTVh テレビ北海道に出演するらしい件
>TVh テレビ北海道の「けいざいナビ45」の番組内容が掲載されたらしい件
>出た!2012年9月23日にテレビ北海道「けいざいナビ」で初音ミク特集
