>Engloids「Interview:MasterVocaloid/Giuseppe」

インタビュー:MasterVocaloid/ジュゼッペ
インタビュアー:ミニ
はじめまして新人記者(ミニ)です。よろしくお願いします。本当はコラムを書くために参加したのですが、今回の記事はコラムではなく、それよりもっと価値があるものです。実は昨日、みなさんよくご存知の、ある方の話を聞くことができました。
ジョー・ラストラス氏は、またの名をMasterVocaloidもしくはジュゼッペとして知られています。彼はアマチュアミュージシャンで、あえて言わせてもらうと、西欧世界における最高のボカロPとして長くファンに親しまれてきた人物です。しかし3か月前、ジュゼッペはファンの前から姿を消しました。誰の問い掛けにも答えません。ファンたちは、彼が突然消えたことを悲しみました。
今回、短いインタビューの中で、ジョーは彼の作ったボーカロイド曲やファンとの交流について、そしてブログを閉じた理由について、自らの思いを語ってくれました。また、ここで初めて明かされるもう1つのスペイン語ボーカロイドの情報も聞かせてくれました。
ミニ:ジュゼッペさんはボーカロイドを使い始めて、何年になるんですか?
ジョー:最初にボーカロイドを使ったのは2005年です。LOLAとLEONでした。Vocaloid-User.netのフォーラムに作品を投稿したところ気に入ってもらえました。このフォーラムで、ビル・ブライアン(PowerFX社)から、うちの新ボーカロイドを使ってみてほしいという連絡を受けました。それが新しいVOCALOID2エンジンのSweet Annでした。さらにビルの紹介で、アンダース(Zero-G社)からPrimaを試してほしいというメールをもらいました。
ミニ:いろいろなボーカロイドを使ってみて、どれが一番良かったですか?
ジョー:そう簡単には答えられません。どの声も個性的ですし、結局のところ使い方は同じです。ただし、今度のVOCALOID3エンジンは、新しい録音方式のおかげで、非常に使いやすくなっています。
ミニ:あなたの影響で、ボーカロイドを始めた人もたくさんいます。彼らに何かアドバイスはありませんか?
ジョー:ボーカロイドはもともと専門家のための音楽ソフトでした(ヤマハは最初そう考えていました)しかし状況は変わりました。ユーザーが、ボーカロイドにキャラクター性を見出したからです。いまでは、音楽知識を持たない多くの人も、一緒にボーカロイドを楽しんでいます。彼らのおかげでボーカロイドは、さらに先へと進み続けるでしょう。そうなることを私は願っています。
ミニ:ブログを閉じたのはなぜですか?
ジョー:ほとんど人の来ないブログでしたから。私自身はボーカロイドのキャラクターにあまり興味がなく、重要なのは声だと思っています。こういう人間は、ブログやWebサイトの運営に向いていないのです。ユーザーが集まるブログやWebサイトというのは、もっとキャラクターへの愛でいっぱいのところですよね。
ミニ:新しいスペイン語ボーカロイドは気に入りましたか?
ジョー:ええ。あの男女2人の開発に私も協力しています。どちらも素晴らしい声で、しかも使いやすく。多くのボーカロイドファンに喜んでもらえるでしょう。今回ヤマハはさまざまな言語を扱う能力をボーカロイドに与えましたが、その中で、まずスペイン語版が登場したのは、やはりマニアの多いスペインならではです。おかげで私も母国語で歌わせることができ、大変感謝しています。
ミニ:ボーカロイドとそのファンたちから学んだことはありますか?
ジョー:私はアマチュアミュージシャンですが、ボーカロイドを通じてPowerFX社とZero-G社の人とも知り合い、たくさん経験を積ませてもらいました。そのことで私の音楽のスキルは大きく成長しました。それはボーカロイドだけでなく、音楽理論、楽器演奏、ミキシングなど、多岐に渡ります。そう、私はボーカロイドから多くのことを学びましたし、これからも学び続けるでしょう。
ミニ:ボカロPとしての活動をやめても、趣味としてボーカロイドに関わり続けるのですか?
ジョー:私がボーカロイドについて計画しているのは、もっと多くのボーカロイドを世に出すための会社設立です。そのためのライセンスをヤマハから取得できると良いのですが。
ミニ:今後ボーカロイドやその楽曲はどうなっていくと思いますか?
ジョー:確かなことは言えません。ボーカロドが生まれてしばらくは、たいした展望もなければ、評判もよくありませんでしたね。しかしいまはまったく違います。物事は変わるものなんです。とはいえボーカロイドは商業製品であり、売り上げなくして発展はありえません。誰も見向きもしなければ開発のモチベーションは下がり、すべてが衰退していくでしょう。そのためにもボーカロイドユーザーは、どんどん新曲を発表し、そしてどんどん新しいキャラクター作りに挑戦してほしいと思います。ボーカロドの未来は、ユーザーであるみなさんが創っていくのです。
VocaloidMasterのちゃんねるはまだ残っていて、ここで作品を観賞できます。
編集部より
ミニ:
ボーカロイド界で最高のリソースが閉鎖され、がっかりしたあの日のことは、いまでも忘れられません。それからずっと閉鎖の理由を知りたいと思っていました。それにしても、他にふさわしいインタビュアーがいるだろうに。この私に質問する栄誉を与えられ、これほど心のこもった回答をいただけるとは思ってもみませんでした。彼は多くを語る人ではありませんが、昔から憧れだったその人が、私の拙い質問に答えてくれたことが、私をどんなに幸せにしてくれたか言葉にできないほどです。この機会を与えてくれたジョー本人と、当サイト編集人ロイマタに感謝します。
ロイマタ:
読んで楽しいとても良い記事でした。そして読者の皆さんもいつもありがとう。誤字などを見つけたらお知らせください。
VOCALOIDという単語が全部大文字で鬱陶しかったらすまんね。こう書くのが癖になっているもので。
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